あの日見た、花を灯して君へ
病院では、走っていけないなんて誰が決めた?


走らなきゃ、間に合わない。


君に会えないーーーー。


ナースステーションに滑り込んだ。



「音。


橋下音は、、どこですか!?
逢いに来ました。



音にーーーー「まつりちゃん!?」




振り向いたら、音のお母さん、お父さん。


弟の、律くん。




「ーーーおばさん、音に逢いたい。
音と花火に、行く約束してて、見てくださいよ。 頑張って着付けて、なのに音来ないんだもんっ!」




ギュッとされた温もり。


音に似た温もりーー。



涙を必死に保っていた。。





「ーーーーごめんね、まつりちゃん。

音、花火見に行けなくなっちゃった。
暗い中、怖かったよね。



ごめんね、まつりちゃんっ」




あー、嘘じゃない。




音は、きっとーーーー



もう、居ない。





「これ、買いに行って事故に。
わたしなんかのために、バカですよね。
ほんとーーーー」



アップにした髪に、かんざしは器用に治る。



「逢いに行ってあげてくれない?


音、きっと喜ぶからっ」




おばさんに、体を支えられて、向かった先はーーーー霊安室。




逢いたかった。




うん、生きてる音に逢いたかった。







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