君のそばにいさせて
2人がお互いに思っているのはわかっていた。


2人が付き合うようになって
森本さんへの気持ちを抑えるのに必死で
好きにならないよう、彼女に無愛想で接していた。

・・・・・必要以上に関わらない。

そうすることで、蓋をしていた。
自分の気持ちを。


親友の恋人で
親友の大事な人。

俺の感情で壊してはいけない。

今ならまだ引き返せる。
止められると思っていた。



だけど、

あの日、森本さんが泣いて
小さくて細い体を震わせていたとき

・・・・気が付いたら彼女の背中を抱きしめていた。

<泣くな>

泣いている彼女をただだ抱きしめた。


部活へ行こうと歩いているとき
陸上部マネージャーの田中さんと何か話ししていたのが聞こえていたから

何か言われたんだと思った。

田中さんが遊馬を好きなのはわかっていたし、
彼女である森本さんを意識していたのわかっていた。


細いカラダで、小さい背中を震わせて泣いている彼女を見て、
抱きしめられずにいられなかった。


震えるカラダを抱きしめた時
柔らかくて、、あたたかい感触に気が狂いそうになった。


抑えていた気持ちが溢れて止まらなかった。

本当はずっと、こうして、抱きしめたかったことに
その時、、気がついた。

森本さんが・・・好きだ。
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