君のそばにいさせて
<<森本さんが好きだ>>

森山の気持ちはわかっていた。
たぶん、ゆららのこと、好きなんだろうなって。

ゆららと僕がいるとき、ふとしたときに見せる切ない顔とか、ゆららをみる表情とか、森山の気持ちがきっと僕と同じなのだろうと思っていた。

恋とか好きとかわからなくて、告白されたらとりあえず付き合っていた森山が高校に入ってから、全くそんないい加減なことはしなくなって、彼女も作らなくなった。

森山は、いまは陸上がしたいから、とかいっていたけど、本当は違うことを知っている。


あの日も、たまたま、偶然、ゆららと森山のやり取りを見ていた。

陸上部マネージャーの田中さんがゆららにいい、印象をもっていないのはわかっていた。
だけど、ぼくがそばにいれば守れると思っていた。
まさか、大学推薦のことを、田中さんが知っていたなんて、わからなかったのは完全に僕のミスだ。
彼女は陸上部のマネージャー。
そういう話は耳に入るのは想定しなければいけなかった。

もっときちんと先回りして

きちんとゆららに伝えるべきだった。

でもできなかった。

臆病なのは僕だ。
未だに、、本当にゆららが僕を好きなのかわからなくなる。
こんな、自分を好きでいてくれるのかと。
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