君のそばにいさせて

マイナス300キロ

通いなれた道は桜の花が満開になっていて足元はピンクのジュータンができていた。
日差しは柔らかくてつい眠りを誘う心地良さ。

やっぱり・・・スプリングコート必要なかったかな・・。
早歩きをしているせいか体温が高くなる。

でも、足どりを緩ませることはしなかった・


はやく・・
はやく会いたいな。

気持ちが先走って靴音が止まらない。
焦りと緊張と・・すこしの恥ずかしさで心臓が高鳴っている。

「会いたいな」

思わずつぶやく。


やっと・・・この日が来たんだ。

頬が緩む。


遠距離恋愛が始まりたくさん泣いたり笑ったり不安になったり・・・
会えば安心しての繰り返しだった。

離れてはいたけれど、遊馬くんは私を安心させるようにいつも会いにきてくれた。

お互いを思って同じ時間を過ごした。

四年間という時間は短かったわけじゃない。
離れている時間は長くてなんども負けそうになったけど、二人で乗り越えた。

遊馬くんは大学でも優秀な成績を陸上で残した。
スカウトも来たようだけどいろいろ考えて遊馬くんは大学で引退した。
かなり周りから惜しまれ反対もされていたけれど、遊馬くんは自分のしたいことを見つけたからって断固として変えなかった。
遊馬君って何気に頑固なんだよね。

私は、大学で学ぶうちにデジタルアートにひかれてデザイン会社に就職が決まった。


時間帯も夕方のせいか、高校生が部活をしている声が聞こえる。
ここは、高校時代通った通学路。

まだ待ち合わせまですこし時間ある・・。

私はすこしだけ方向転換。

懐かしいグランドと校舎が視界にはいると、すこし胸が熱くなって泣きそうになった・・。

陸上部とサッカー部が練習している。

一人・・・男の子がハイジャンを飛んで
その姿が遊馬君に重なった・・。

ここでたくさん遊馬君のこと見てきた・・。
そしてこれからも・・・。

「ゆらら。寄り道?」
「遊馬くん!「どうしたの=?」
まさか。。遊馬くんがいるなんて。
「すこし、早く着いたから・なんとなく寄り道したくなって」
ふわって優しく笑う。

「なつかしいね」
遊馬君もうなずきながら遠い目をしていた。
ここで遊馬くんと一緒に過ごすことができた高校生活は私の宝物・。
遊馬くんにあえてよかった。


「遊馬君。お帰りなさい!」
「うん。ただいま」

帰ろうか?

って自然に差し出された手を私はぎゅっと握り返して歩き出した。


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