曇天はいつか晴れ渡る
「まぁ、どこのお嬢さんかと思ったわ。」
珠代ちゃんは冗談を言って助手席で楽しそうに笑い、友助おじさんも
また私を揶揄った。
「そういえば明里ちゃんは看護学校に行ってるんだってな。」
三つ離れている姉は将来の夢へ続く道の途中だと誰もが思うだろう。
嘲笑して窓から見える景色を眺め、気を紛らすと
微かに風に乗って潮の匂いが鼻を掠めた。
昔、祖母の家に泊まりに来たら海で遊んでいた記憶がある。
「数年前に事故があったみたいで、遊泳禁止になっちゃったのよねぇ…」
珠代ちゃんは懐かしむように口ずさみ鼻歌を歌い始めた。
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