不死身の俺を殺してくれ
第2章
四月某日。
入社式を終えた新入社員達が、それぞれの課に配属された。そして、優や周りの女性社員達が噂をしていた通りに、八重樫学という人物も入社し営業課に配属されたようだった。
「さくらさんっ!」
昼休みに入り社内の廊下を歩いていると、さくらを呼ぶ声が聞こえ振り向くと、そこには八重樫学が満面の笑みでさくらに駆け寄ってくる姿が見えた。
「八重樫くん、久しぶりね」
「はい。さくらさんはお元気でしたか?」
さくらが社員食堂に向かう途中の姿を見掛けた八重樫は、側に駆け寄ると然り気無くさくらの隣に並び歩く。
「元気よ。髪の毛、黒くしたんだ。似合ってるね」
「本当ですか? ……さくらさんにそう言われると嬉しいです。就活のために黒髪に戻したんです」
大学生時代は明るい茶髪に染め上げていた八重樫の髪は、今は新社会人となり人工的な黒髪に戻されている。八重樫はその髪を照れくさそうに触った。
ニコニコと笑顔を絶さない八重樫を見ていると、さくらは何となく可愛い弟が出来た気分になってしまい、こちらまで笑顔が溢れる。
さくらが八重樫に会うのは実に約三年振り、大学に通っていた以来だった。社会人になってからは、お互いに連絡も取っておらずいつの間にか疎遠になっていた。
当時から八重樫とあまり多くの会話をした記憶はないのだが、何故か、さくらは八重樫から妙に懐かれていた。
その度に内心不思議に思ってはいたが、さくらは他人から懐かれることは性別関係なく素直に嬉しく思っているため、その理由を深くは考えていない。
入社式を終えた新入社員達が、それぞれの課に配属された。そして、優や周りの女性社員達が噂をしていた通りに、八重樫学という人物も入社し営業課に配属されたようだった。
「さくらさんっ!」
昼休みに入り社内の廊下を歩いていると、さくらを呼ぶ声が聞こえ振り向くと、そこには八重樫学が満面の笑みでさくらに駆け寄ってくる姿が見えた。
「八重樫くん、久しぶりね」
「はい。さくらさんはお元気でしたか?」
さくらが社員食堂に向かう途中の姿を見掛けた八重樫は、側に駆け寄ると然り気無くさくらの隣に並び歩く。
「元気よ。髪の毛、黒くしたんだ。似合ってるね」
「本当ですか? ……さくらさんにそう言われると嬉しいです。就活のために黒髪に戻したんです」
大学生時代は明るい茶髪に染め上げていた八重樫の髪は、今は新社会人となり人工的な黒髪に戻されている。八重樫はその髪を照れくさそうに触った。
ニコニコと笑顔を絶さない八重樫を見ていると、さくらは何となく可愛い弟が出来た気分になってしまい、こちらまで笑顔が溢れる。
さくらが八重樫に会うのは実に約三年振り、大学に通っていた以来だった。社会人になってからは、お互いに連絡も取っておらずいつの間にか疎遠になっていた。
当時から八重樫とあまり多くの会話をした記憶はないのだが、何故か、さくらは八重樫から妙に懐かれていた。
その度に内心不思議に思ってはいたが、さくらは他人から懐かれることは性別関係なく素直に嬉しく思っているため、その理由を深くは考えていない。