世界No.1の総長と一輪の花 II
朱里さんに教えてもらった化粧をして、髪をいつもよりも丁寧に整えてから詩優の待つ部屋へと行く。
黒いスーツを着崩した、髪をオールバックにしている詩優が黒いソファに座っている。
詩優は大人っぽくて、やっぱりかっこいい……
思わず見とれてしまうほど……
パチッと目が合うと、
「可愛い」
と言って優しく笑う。
心臓が早鐘を打って、体が熱くなっていく……。簡単にそう言うのはずるいと思う。
いつも私だけがドキドキしてばかりだから。
「……お、お待たせ」
「行こっか」
詩優は立ち上がると、ぎゅっと私の手をひいて歩き出す。
ピンヒールを履いてから、部屋を出てエレベーターで下までおりると康さんがリムジンで待っていた。
「お願いします」
と言ってからリムジンに乗って、続いて詩優も私の隣へ座る。べったりくっついて。
広いリムジンの中、こんなにスペースがあるのにわざわざ肩と肩が触れ合うくらいくっついて座らなくてもいい…と思う。
すぐにリムジンか、発車すると詩優は私の手に自分の手を重ねてきて絡み合わせるように繋ぐ。そして繋いでいない方の手で私の髪を掬って耳にかける。