世界No.1の総長と一輪の花 II
奥に進んだところにあった大きな扉の前には、黒いスーツを着た男性立っている。
黒髪に青メッシュ、整った顔立ち。いつもの青いメガネはかけていないけど、誰だかすぐにわかった。
その人は竜二さん。
メガネをかけていない姿を1度見たことがあるけど、やっぱりメガネをかけていない方がいいかも…とか思ってしまうのは内緒。
「詩優。そのだらしない格好で中に入る気か」
はぁ、とため息をつく竜二さん。スーツを着ているし、メガネがないから大人の人に見える。それは詩優もだけど。
「ネクタイ上までしめるとか苦しい」
「自分のだらしないところを理解してて何よりだ。妃芽、詩優のネクタイしめてやってくれないか?」
竜二さんの言葉に「はいっ!」と返事をして私は隣にいる詩優に「しゃがんで」と言ったのだが…
「んじゃ、中入るから」
それを全部無視して、ぐいっと私の手を引くと扉を開けて中へと入った。
後ろからは竜二さんの「まったく…」と呆れた声が聞こえてきたのを最後にして扉がしまる。