世界No.1の総長と一輪の花 II






くいっと詩優の袖を少し強く引っ張って、詩優と目が合うと





「…お手洗い行ってくるね」





それを伝えて私は小走りで逃げた。
本当は逃げるべきじゃないのに。













"幼なじみ"
なんだから仲がいいに決まってる。






幼い頃から一緒にいたんだから私が知らない詩優を葉月さんが知っていて当たり前。だから、詩優の家族のことも知っていて当たり前。







……私が知らないことを全部
葉月さんが知っている。







胸がモヤモヤして、なんだか気持ち悪くなって、苦しい。







「あそこで逃げるのは彼女としてどうかと思うよぉ?花莉ちゃん」


「…そんなのわかってるよ……」






「雅(みやび)だったらー、あそこで詩優にキスして『この人は雅の!!』って威嚇してたなぁ」


「……それができたら…って…え?」






…"みやび"?
声のした方に視線を向けると、そこに立っていたのは胸元まである髪をゆるふわに巻いている赤いパーティードレスを着た女性。






…すごく久しぶりに会ったけど、この人は雅さん。雷龍の先々代のお孫さんの…





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