世界No.1の総長と一輪の花 II
花莉は抜け出すことを諦めたのか、急に大人しくなる。
かと思えば、いきなり俺の背中に手を回してぎゅーっと強く抱きついてくる。
……それは反則じゃね?
心臓がドキドキドキドキと早鐘を打つ。
…これじゃ花莉に聞こえちまいそうだ
「…大好き……」
呟くように聞こえてきた声。
「俺も」
思わず声が出た。言ったあとに少し後悔。
だって俺は、寝たフリをしていたのだから…
「…へ?……起きてた…の…?」
花莉は俺の背中に回した手を解いて、見上げてくる。
「……ごめん。起きてた…」
俺がそう答えると、花莉の顔はみるみる赤くなっていく。
「…っ…ひどい!!!起きてたなら言ってよっ!!!!」
ぽかぽかと俺の胸を叩くけど、全然力が込められていないから痛くない。
仕方なく花莉を抱きしめていた手を解くと、花莉は逃げるように起き上がって走り去って行った。