世界No.1の総長と一輪の花 II
宮園さんと目が合うと、やっぱりほんの少しだけ恐怖が感じられた。
「あ……えと、おはようございます」
なんて言ったらいいのかわからず、最初に挨拶をしておく。
宮園さんもにこりと笑って「おはようございます」と返してくれる。
「妃芽乃様、あのですね……」
宮園さんは途端に申し訳なさそうな表情へと変わって、
「葉月と詩優様が…婚約者になられたのはご存知ですか?」
その言葉を聞いた瞬間、動けなくなった。
そして…心臓がドクドクと嫌な音を立てて動く。
…宮園さんは今、なんて言ったのだろうか……
…葉月さん?詩優…?
………………婚約者?
「あ……知らなかったようですね……すみません。
でも…詩優様のお父様が勝手に決めたそうなので……」
宮園さんの言葉がただ頭の中へと響く。
そして、自分の中で何回か再生されて……
ようやくその言葉の意味がわかった。
「詩優様は何とかしようとしているみたいですが、葉月は詩優様と結婚する気があるようでして……
まぁ、あんなことをした深い仲だからしかたないとは思いますが……」
引っかかる宮園さんの言葉。
……あんなこと…?