世界No.1の総長と一輪の花 II






不意に吹いた風が冷たくて、もう冬だと教えてくれているようだった。





…冬ってことは、もうすぐ詩優と出会って1年がたつ…ということ。






…あっという間だ。






ってまた詩優のことを考えてしまう…
今は…今だけは忘れたいのに…









ドンッ





なにかにぶつかって、顔を上げると





「妃芽乃様…!?」





驚いた顔をする宮園さんがいた。





「ごめ…なさ……」





咄嗟に謝るが、声が震えてしまう。
宮園さんが私を見て驚いている、ということは、本当にひどい顔をしているということ。





…できれば見られたくなかった……






「どうされたんですか!?」


「……っ」






「そんな薄着で風邪引きますよ!?向こうに車を止めてあるので乗ってください!!」







宮園さんに、ぐいっと肩を抱かれて歩く。
その優しさにまた胸が痛くなって、どんどん涙がこぼれ落ちた。












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