世界No.1の総長と一輪の花 II
黒塗りの大きな車…
高級車の前で立ち止まると、
「…泣かないでください」
温かい体温に包まれた。
突然のことに頭が追いつかなくて、ただされるがまま。
…宮園さんに抱きしめられている、ということに気づいたのは数秒後。
体をすぐに離してもらえて、車のドアを開けてくれる宮園さん。
「安心して乗ってください。家まで送りますから」
…家
私が帰るところなんて……もう……
「…てめぇ…汚ぇ手で花莉に触んな」
怒りを含んだ低い声が後ろから聞こえてくる。
この声は…後ろを確認しなくてもわかる。
詩優の声。