世界No.1の総長と一輪の花 II
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それから数時間後に詩優は起きて、ぐるぐる肩を回した後にソファへと移動する。
私を座らせた後に、詩優もその隣へ。
「まず何から話すか…」
詩優はうーんと考えたあと、もう一度口を開く。
「前に母親と兄貴が他界してるって話はしたろ?」
「…うん」
「兄貴が悠(ゆう)、だから俺は悠兄(ゆうにい)って呼んでて。
母親と兄貴が他界したのを言いたくなかったのは、可哀想なやつって思われたくなかったから」
「……」
「昔さ、同級生から"可哀想"って言われて、当時の担任とか、他の大人からもすげぇ同情されてた。
その時から俺は普通になれないんだ、って思うとなんか嫌だった」
詩優の声が悲しみを含んだいて、なんだか涙が目に溜まる。
「だから、花莉にも同情されたくなかったのかも。"可哀想なやつ"って思われたくねぇ」
「……っ」
私はただ詩優に抱きついて、強く…強く抱きしめた。