世界No.1の総長と一輪の花 II
「親父と仲悪くなったのもちょうどその時から。
悠兄はさ、夜瀬家の長男だったから小学生の頃から跡継ぎだって親父から言われてた。
跡継ぎのための婚約者も勝手に決められてて。そんで相手が幼なじみの葉月」
…葉月さんが……
詩優のお兄さんの婚約者に……?
「悠兄は葉月のことが好きだったから、それは問題なかったんだけどな。葉月だって悠兄のこと好きだったから」
「…!?」
…じゃあ…当時の2人は両思いってこと……!?
びっくりして詩優から手を離して、目をぱちくりさせていたら、詩優に笑われた。
その笑顔がいつもの詩優の笑顔で、なんだか安心。
「でもさ…それから悠兄が他界して、代わりに俺が跡継ぎにされた。なにごともなかったかのようにさ…
次男だから…とは思ったんだけど、親父の態度がどんどん厳しくなって…耐えられなくなって…それからはもう大喧嘩」
「1ヶ月くらい家出したかも」と笑う詩優。