世界No.1の総長と一輪の花 II
1組の教室をのぞいてみると、男子しかいなかった。
…たぶん、体育が終わったばかりなんだろう。着替えの途中の人がいるし、教室からは制汗剤の匂いがするから。
…ここに私がいたら着替えをのぞいている変態だと思われてしまいそうだ。
…諦めて帰ろう。
と思った時、ガラッと教室の扉が開く音がして
「花莉!」
私の名を呼ぶ声が聞こえてきた。
立ち止まると、詩優が私に駆け寄ってきてくれて。着替えが途中だったようで、ネクタイをしていない。
少し、ほんの少しだけのぞいただけなのに…
私に気づいてくれた詩優。
なんだか嬉しくて、ぎゅっと詩優に抱きついた。
「花莉!?」
詩優は驚きつつも優しい手で頭を撫でてくれる。
…やっぱりこの手が一番大好き。
ゆっくり顔を上げると詩優と目が合って、
「何かあった?」
優しい声が上から降ってきた。
「あのね…ジャージかしてほしいの」
「俺、今体育で着てたから汗臭いかもよ?」
「詩優の匂いなら好きだから大丈夫」
言った後に、恥ずかしいことを言ったということを理解した。
…変態だと思われてしまいそう。