世界No.1の総長と一輪の花 II
ふと、頭を撫でる手が止まって。その手が滑るように頬へと触れる。
それから、詩優が私に顔を近づけて。
ぎゅっと目を瞑った。
でも、キス…されるのかと思ったのに、私に詩優の熱は伝わらない。
かわりに数秒後、こつんと額をくっつけてきた。
「ごめんな、怖かったよな。無理にしねぇから、もう寝るか」
優しい声。
暖かい手が両頬を包んでくれる。
…違う。
詩優が怖いわけじゃない……。
そう言いたくてゆっくり目を開けると…至近距離で目が合う。
恥ずかしくて、何も言えなくて。ただ視線を下に逸らした。
ドキドキと胸が高鳴って、どんどん顔が熱くなってくる。
「何その可愛い反応」
詩優は小さく笑ってから私から離れていく。
それがいやで…離れてほしくなくて、袖を掴むと
「…一緒に寝る?」
優しい声か降ってくる。
こくん、と頷けばすぐに抱きかかえられて詩優の部屋まで連れていかれた。