世界No.1の総長と一輪の花 II
ベッドの上におろしてもらえて、それから詩優も隣にくると布団をかけてくれる。
「おやすみ」
詩優がリモコンを操作すると部屋の電気がパチッと消えた。
部屋の中は一気に真っ暗。
近くにいるはずの詩優さえ見えなくて……。
なんだか怖くなってくる。
また、1人になってしまったのではないか、とか。宮園さんが迎えに来たらどうしよう、とか。
いろいろ考えてしまう。
詩優の方に近寄ってぎゅっと抱きついた。
少しでも安心したい。
詩優の温かい体温を感じて。
「…キス、したい」
小さな声で呟いた。
詩優に届いたかはわからない。
それに、この声が届いていたとしても暗いから顔なんて見えない。
無理なことかもしれない。
でも、これだけは伝えておかないと。
「…さっき、キスが怖かったわけじゃないの……。少し前まで…詩優と離れるって覚悟してから、あと何回キスできるのかな、って思ってて……。
もうそんなこと考えなくていいって、思ったら…安心したの。でも、前はどうやってキスしてたのか…よく思い出せなくて…緊張しただけなの」