世界No.1の総長と一輪の花 II
そこまで大きくはない声で説明した。
どうか、さっきのことを…詩優のキスが怖かった、って思ってほしくなくて。
どうか…ちゃんと伝わりますように。
「…大丈夫だから。そんな心配すんな」
ぎゅっと抱きしめ返してくれて、思わず涙が溢れた。
「花莉、顔上げて。キスできねぇから」
優しい声で言われて、顔を上げた。
すると、涙を指で拭ってくれて。
「泣かなくていいから。だいじょーぶ」
暗いのに……まるで見えているかのように私に触れてくる。
…たぶん、見えているのかもしれない。詩優は暗いお化け屋敷に入った時だって迷わず歩いていたし…。
…私だけ見えないのもいやで、リモコンに手を伸ばして電気をつけた。
急に明るくなると眩しくて、目が慣れない。
そんな時、私の唇に熱くて柔らかいものが触れた。
よく知ってる……、詩優の唇。
頬に添えられた手は私の輪郭をなぞるように触れてきて。
「…んっ」
離れたと思ったらまた唇を重ねてくる。