世界No.1の総長と一輪の花 II
「…あんたは離れてろ。ブス」
奏太くんは後ろを向いて、私の肩をトンっと押す。
強い力ではないけど、そうされることで体を動かすことができた。
あっかんべーしてから私は少し後ろへとさがる。
そんな心の余裕ができたのも奏太くんのおかげ。
悪口を言うことで私の恐怖心を和らげてくれたんだ。
「あらら。守りきれる自信でもあんの?ガキ2人で。雷龍のお姫様置いていけば見逃してやんのに」
ケラケラと笑う男たち。
そんな笑い声の中、震える足を必死に動かして、奏太くん壮くんと肩を並べる人物。
「さ、さ3人ですっ!!」
誠くんが声を張りあげた。
それを聞いた奏太くんと壮くんは、口角を上げて。
鈍い音が耳に届くのと同時に男2人が倒れた。
──カランカラン、と鉄パイプが地面に落ちる。
倒れたのは、奏太くんと壮くんの目の前にいた男2人。
あまりにも一瞬のことだったから、何が起こったのかわからなかった。
そう思ったのは鉄パイプを持った男たちも同じだったようで、数秒時が止まったかのように静止。
それから「てめぇら…」と低く、怒った声が聞こえてきて…3人に鉄パイプが振り上げられる。