世界No.1の総長と一輪の花 II
「あんたらどこの族?」
奏太くんがまた低い声を出す。
男はごくり、と息をのんでから…
「“水鬼”」
ただ一言答える。
「俺らが解散させた族のはずだ」
「…“宮園”っていう男に金で雇われて、また集められたんだっ!!!!!」
ドクン、と心臓が嫌な音を立てる。
“宮園”
この名前をもう聞きたくないと思っていたから。
「…その宮園ってやつに何を頼まれた」
奏太くんの質問に男は黙る。
壮くんは手に持っている鉄パイプをもう一度振り上げて、叩きつけようとしたところで
「ら、雷龍の姫を捕まえて、二度と姫が夜瀬の前に現れないようにめちゃくちゃにしろって!!」
男が焦った声で答える。
自分の体が小刻みに震えだすのがわかった。
嫌でも思い出してしまうから……。
宮園さんに騙されたこと、もう詩優やみんなと会えないと思ったこと……。