世界No.1の総長と一輪の花 II





ここの部屋には調理器具なんてものは何一つなかったから、私が全て部屋から持ってきたもの。



まな板も、包丁も、フライパンも。
それから食器を洗うスポンジと洗剤も。




最初にここの部屋には来た時は本当に驚いた。
冷蔵庫の中には飲み物とコンビニで買ったデザートしか入ってなかったんだから。




奏太くんと壮くんの食生活を放っておくと本当によくない、ということがよく分かる。
詩優と同じで。











そう思いながら醤油瓶に醤油を入れていたら、気になったことがひとつ。




誠くんは…どうして前髪かそんなに長いのか、ということ。
見えづらくないのだろうか。




長い前髪の下には丸いメガネだってかけているし…。







「ねぇ、誠くん」



気になって聞いてみることにした私。




「は、はい!な、なんでしょうか!!」




キャベツを切っていた手を止めて、前髪をさらりと揺らしながら顔を上げてくれた誠くん。




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