世界No.1の総長と一輪の花 II
「…余計なことは言うな、朱里」
黙っていた詩優のお父さんが口を開くと、「じゃあ邪魔者は退散します!」ともう1つ詩優の分の紅茶を入れてから部屋を出ていく朱里さん。
このまま詩優のお父さんと2人になったら私の緊張はMAXレベルになってしまいそう…。
上手く話せるかな……
と心配していたのだが、その心配は無用だったみたいで。
「自己紹介がまだだったな。私はここの社長をつとめている夜瀬 勇悟(やぜ ゆうご)。うちのバカ息子がお世話になってるみたいだね」
目の前の男性は優しい声のトーンで話してくれる。
高級そうなスーツに身を包んだ、黒髪の男性。堂々としていて、貫禄がある。
一見怖そうに見えてしまったけど、今の表情は優しくて。目元が詩優と似ていると思った。
思っていたよりも若くて、優しくて…
なんだか驚きの連続。
「あ、いえ!お世話になっているのは私の方です」