世界No.1の総長と一輪の花 II
その言葉を聞いて胸が熱くなっていく。
少しでも油断したら涙が溢れてしまいそう。
「妃芽乃くんは、詩優とのことを真剣に考えているのか?」
「考えてますっ」
真っ直ぐ見つめ返して、
私は首元にネックレスとしてつけているペアリングをぎゅっと強く握りしめた。
「そうか。それなら、安心だ」
勇悟さんは優しく微笑んで、
「詩優を頼む」
ぺこりと頭を下げた。
「はいっ!」
返事をしてから私も慌てて頭を下げる。
反対されると思っていた。詩優と私なんて釣り合わないと……。私なんて令嬢でもなんでもないし、特別美人というわけでもない。
ただ、詩優が好き、という気持ちが強いだけ。
認めてもらえたことが嬉しくて、頭を下げたから涙が溢れそうになった。袖で拭って、また前を向いた時には
ガチャッと扉が開いて、詩優が戻ってきた。
「妃芽乃くん。もし、将来やりたいことがなければここに就職をおすすめするよ。もちろん休みの日に遊びに来ても、バイトでもいいから。また顔を見せにおいで」
勇悟さんが立ち上がって、部屋を出ていこうとするから
「はいっ!!本日はありがとうございました!!」
もう一度、深く頭を下げた。
勇悟さんが部屋を出る間際、詩優と何か話していたけど、小さな声だったからよく聞こえなかった。
けど、2人は柔らかい表情をしていたから心配なさそう。