世界No.1の総長と一輪の花 II
外は寒くて、今にも雪が降りそうだった。
エレベーターをおりて、駐車場まで歩いていくと…
「…花莉、うしろさがってろ」
詩優が私を自分の背中へと隠す。
ちらりと前を見ると……そこには、もう二度と見たくない人物がいた。
「詩優様、妃芽乃様、お久しぶりですね」
声を出したのは黒髪でマッシュ頭のスーツ姿の男性。
……宮園さんだ。
この人を見ると嫌でも思い出してしまう。
詩優と離れた日のことを…。
心臓が嫌な音を立てて、体が凍りついたように動かなくなっていく。
「…何の用だ」
詩優が低い声で言って、目の前の男を睨みつける。
「ただの挨拶ですよ、挨拶」
「…わざわざその人数で?」
…その人数?
と疑問に思った時には、車の後ろに隠れていた男たちが次々に姿を現してその意味をすぐに理解した。
男の人数は10人くらいで。
手には…ぎらりと光る鋭い刃物が握られていた。