世界No.1の総長と一輪の花 II
大好きな人へ
花莉side
暗闇の中へ落ちていく。
上を見れば、眩しいほどの光があるのに。
真っ逆さまに落ちていく。
……やだ。
嫌だよ。暗闇はやだ。暗闇にいると周りが見えないの。誰もいないところにずっと1人でいたくないの。
誰か……
助けて……
───……詩優
心の中で彼を呼んだ時、ぐいっと右手を掴まれた。
そのおかげで暗闇の一番下までは落ちずにすんだ。
顔を上げて、私の手を掴んだ人物を見ようと思った。
思わず目を細める。上は眩しすぎて、私の手を掴む人物の顔すら見えない。
その人物はゆっくり、私の手を引いて光の方へと連れて行ってくれる。
強く手を握ってくれるのは、温かくて大きな優しい手。
涙が出そうになった。
この手が、誰の手だかわかったから。
私がよく知る人の、大好きな人の手……。