世界No.1の総長と一輪の花 II
教室から出る時も、階段を上る時も、その子は俺に何かを言っていた気がする。
けど、ちゃんと聞く余裕すらなくて…
いつもの空き教室に入った瞬間、思いっきり抱きしめた。
「わっ!!!」
いつもと髪型が違うから、花莉のツインテールがさらりと俺の頬に当たる。
花莉の髪は柔らかくて、甘い匂いがふわりと漂った。
「……反則」
…この子はどれだけ俺に惚れさせれば気が済むのだろうか。
…可愛すぎんだろ。
腕の中で硬直したままの彼女は、「…へ?」と小さな声をあげる。
どうやら意味がわかっていないようだ。
「可愛すぎなんだよ」
そう言うと、やっぱり彼女は「…へ?」と小さく声をあげる。
そして、ぎゅっと俺のシャツを掴んだ。