世界No.1の総長と一輪の花 II
気になって腕の中にいる女の子を覗き見しようと少し腕の力を緩めて、体をほんの少し離す。
でも、残念ながら彼女の顔は見えない。
「…顔見せて」
俺がそう言うと、彼女は小さな声で
「…今…絶対顔赤いからだめっ…」
と返す。
…顔赤いんだったら尚更見えてぇんだけど。
体をもっと離してちゃんと顔を見ようとしたが、花莉はぎゅっと俺に抱きついて胸に顔を埋める。
「俺に可愛い顔見せてくんねぇの?」
ちょっと意地悪してみる。
「……っ…」
「もっと見せて、花莉」
可愛すぎて思わず抱きしめちまったけどメイド服姿だってもっとちゃんと見てぇ。
「だめ?」
もう一度、花莉に聞いてみる。
「…少しだけ、なら……いいよ」
俺に抱きついていた手を緩めて、花莉は俺から離れた。