世界No.1の総長と一輪の花 II
「…詩優にもグロスついちゃってる……ごめんね…」
そう言って花莉は俺の唇を綺麗な指先で拭う。
上唇に指を滑らせて、続いて下唇へ。
「別にいいのに。気にしねぇから」
好きな子のグロスくらい別に気にしねぇし。
「…だめっ!!私が気にするの…っ!!」
必死に言う花莉に、もう一度キス。
またまた触れるだけの短いキスを。
「…だめっ」
少し背伸びしてまた手を伸ばす花莉。
その手をパシッと掴んで、また唇にキス。
すぐに離してあげると、
「…だめだってば…っ」
俺の足を軽く踏んで攻撃された。
そんなことされても全然痛くねぇけど…
これが花莉なりの可愛い抵抗。
「…もう…教室戻る…」
俺から離れて空き教室の扉に向かって歩こうとした彼女の腕を掴んで止める。
「だめ」
「…私、クラスの手伝いするの…」
「危ねぇからだめ」
その格好だと男が寄ってくること間違いねぇだろ。
せめて裏方に回ってほしいくらいだ。