世界No.1の総長と一輪の花 II
通話ボタンを、タップすると
『もしもし』
大好きな人の声が耳元で聞こえてくる。
それだけで心臓が早鐘を打つ。
「ど、どうしたの!詩優が電話とか珍しいね…!」
アパートの階段をおりて、すぐ近くにあった小さな公園へと向かいながら話す。
『ごめん花莉…ちょっと族の用事が入ってさ、明日迎えに行けなくなった……』
詩優の声がすごく寂しそうで、なんだか元気がない……
「無理しなくていいよ…っ!電車で帰るから…!!」
ここまで往復6時間もかかってしまうんだから仕方ない。それに詩優たちは世界No.1の暴走族なんだ。
忙しいに決まってる。
『……危ねぇからだめ。誘拐されんぞ』
「されないよ!!」
『だめ。明後日何がなんでも絶対迎えに行くから待ってろ』
「………無理しなくていいのに」
『お前が危険な目に遭うよりマシ』
「…遭わないよ」
詩優は心配性なのだろうか…
『いーから。絶対待ってろよ』
念を押して言う詩優に仕方なく「わかった」と答えた。