四つ子の計画書
『6時30分、起床時間をお知らせします。皆さんは朝食を取りに食堂へ集まって下さい。繰り返します、6時30分__』
「ん……」
ふぁ…とあくびをして、目を開けると目の前に見覚えのある男の子が。
「いやっ…」
「ごめん、驚かせるつもりじゃなかったんだけど」
福井くんだった。
福井くんは、私の口元をおさえて叫ばないように止めた。
「おはよう」
「お、おはよう」
ゆっくりと起き上がると、隣で実莉が起き上がっていたことに気がついた。
熱は大丈夫?と聞こうとしたその時、突然実莉に両肩を鷲掴みにされて、ぐらぐらと揺さぶられる。
「真莉ちゃんっ!!いつの間に彼氏さん出来たの!?」
「はい…?」
「うぅ……私…一体どうしたら…」
泣き出す実莉に慌てていると、福井くんがクスクスと笑っているのに、全て察した。
「み、実莉!?誤解だよ!私、彼氏なんていないから!」
「…え?そうなの?」
「さすがに今自分に置かれている状況で、恋人とか作る余裕ないに決まってるじゃん…」
「……良かったあぁ!!良かったよおお」
「わっ」
ぎゅううと私に抱きついて、すりすりと頬を擦る実莉。
「熱、下がったみたいで良かった。君たちに会いたいという人がいるんだ」
福井くんは落ち着いた表情でそう言うと、私と実莉を手招きして出口へ向かっていった。
「会いたい人…?」
「研究員の人でも施設の人でもないよ。大丈夫、おいで」
実莉と数秒間目を合わせると、こくっと頷いてベッドから降りた。