四つ子の計画書
学校から帰宅すると、鞄を部屋にほったらかして、実莉の様子を見に行った。
額には冷却シートが貼ってあり、隣の机には薬を飲み終えた跡があった。
明後日の誕生日までには熱無いと良いなあ…。
実莉の頬をぷにぷにとつつきながら、そんなことを考えていると、一階にいるお母さんが私を呼んだ。
何事かと、急いで階段を下りる。
「どうしたのお母さ…」
「真莉、この数字を一瞬で全て覚えられる?」
いきなり、何……?
いきなり、お母さんが私に見せたのは紙に書かれたいくつかの数字。
「なに言ってるの、お母さん…。一瞬で覚えられるわけないじゃない」
「本当に?」
「うん…」
そこまで疑うことがあるの…?
急に変なこと言われて驚いたし…。
お母さんは紙を床に落とし、力無くソファーに座った。
「なら良かったわ…。今日はもう疲れたから、早めにカレー作るわね」
「あ、うん…」
お母さんの様子を見て、私は少しため息をついた。
どうしたんだろう、お母さん…。
床に落ちている紙を拾うと、マジマジとその数字を見つめる。
『158967335』
って…なんの数字?
それに、一瞬で覚えられる?って突然聞かれて、覚えられるわけないじゃん…。
本当に意味がわからない。
今までこんなことなかったのに。
やっぱり、なにかあったのかな?
なにか嫌な予感が背筋をゾクッとさせた。
不安でしかないけど、今は考えないでおこうかな……。
私はその紙を机に置くと、2階へと上がった。