四つ子の計画書



「ん……」


「あっ!…大丈夫?」



目が覚めると、一番に視界に入ってきたのが真っ白な天井。



そして、その横には女の子の顔があった。



「あ……はい」



起き上がると、そこは近くのベッドルームであることがわかった。



ベッドの上で寝ていたようで、女の子がにこっと微笑みかけてくれる。




「良かった~……このベッドルームに逃げ込んだら、苦しそうな表情をして寝てたから、心配したよ…」




「え?あ…もしかして、ここまで運んでくれたんですか?」



かなり曖昧だが、記憶が残っている。




倒れそうになったとき、誰かが私の身体を抱き上げてくれたような……?



「ううん、私が君を見つけた時には既にこの部屋にいたんだよ。誰かが親切に運んでくれたんだろうねっ」




「あ…そうなんですか」



改めてよく女の子を見ると、すごく可愛い子だった。


前髪は真ん中で分かられていて、崩れないようにヘアピンで止められている。



後ろ髪はポニーテールで結ばれているようだった。



「名前言ってなかったね!私は桑田遥っていうんだよ~。えっと…真莉ちゃん…だよね?」




「え?あ、はい。会ったことありますか…?」



「うーん…多分無いと思う。廊下ですれ違ったことはあるよ!可愛い容姿だったからすぐに覚えちゃった」



遥さんはそう言うと、窓から廊下の様子を見た。



「真莉ちゃん、もう体調は大丈夫?」



「大丈夫です。……あ!あの…私、大切な人を助けにいかなくちゃいけなくて……」



そうだった、こんなところで寝ている場合ではない。



一秒でも速く、福井くんを助けにいかなくちゃいけないのに……。




「それなら、一緒に行動しない?私、今ひとりだから心細くて」




「わかりました!とにかく、早くいかなくちゃ……」



「ふふっ、よっぽど大切な人なんだね?その人に恋してるみたい」



「え…?」




「その人のこと、好きなの?」




好き……。



だけど、きっと好きになったらいけない人だったんだ。



福井くんは一般の人とは違う、なにか特別なオーラを放っている。





「好き…ですけど……、きっと、その気持ちはだめなんです」




「へえ…どうして?」




「福井くんは……、私とは次元が違うから…… 」




「ふーん…。そんなことないと思うけどなぁ。でも!!大切な人には変わりないんでしょ?」



遥さんの言葉に、こくっと頷く。




「だったら、助けにいかないとね!さあ、行こう!救出だ~!」




な、なんだか楽しそうに言ってる……。





だけど、とっても頼れそう。




私と遥さんは、小走りで部屋を出た。



< 42 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop