四つ子の計画書
【長田 実莉サイド】
「海斗くん…!!死なないでね!死んだら天国まで行って説教だから!」
私の背中で微かに息をしている海斗くんに、そう言い聞かせた。
周りは血で真っ赤になった死体ばかりで、正直…目を逸らしたいものばかり。
けど、今私がやらなくちゃ…海斗くんは死んじゃう。
治療室までつくと、音子ちゃんが慌てた様子で駆け寄ってきた。
「海斗くん血まみれ…!!中に入って!手当てするから!」
そのあと、音子ちゃんの素早い手当てのおかげでなんとか一命をとりとめた。
音子ちゃんに頭を下げてお礼を言うと、海斗くんを見つめる。
だけど、意識は戻らない。
診察台のようなもので寝ている海斗くんの隣に座って、じーっと寝顔を見つめる。
その時、小さな椅子を持ってきて音子ちゃんが隣に座った。
「実莉ちゃん、真莉ちゃんとははぐれたの?」
「ううん…私…あの時すごく必死で、海斗くんの汗を拭き取って…止血しようとして…気がついたら真莉ちゃんに先に行っててもらうように頼んでた」
「そっか。でも、実莉ちゃんが今頃ここに海斗くんを運んできてなかったら…海斗くんはもしかしたら死んじゃってたかもしれないよ?」
「っ、」
「大丈夫、って海斗くんは言ってたんでしょ?じゃあ、海斗くんを信じようよ。海斗くんが言ってた言葉は、きっと嘘なんかじゃないから」
音子ちゃんの言葉に涙が出そうになって、必死に拭う。
そして、力強く頷いた。
「私…海斗くんが好きだから、助けたい!ナイフを刺したやつ…倒してやるっ!」
「へ!?あ、あらあら……あははっ………思ったよりストレートに言うんだね実莉ちゃん…。」
「うん!ほら、真莉ちゃんは絶対に福井くんが好きでしょ?顔に書いてあるもん!」
「あはは、そうだね!思ったことが全部顔に書いてあるって、面白いよね」
「ふふっ!」
音子ちゃんと笑顔を見せ合う。
絶対に、ここから出てやるんだから。
ほら、その気持ちがあるだけで気合いって自然に入ってくるものでしょ?
だから、私もその気持ちを作るの!
真莉ちゃんと、音子ちゃん達と、海斗くん達と……また一緒に過ごしたいから。
【長田 実莉サイド end】