四つ子の計画書
そのあと、研究室にいた実莉と海斗くん…音子ちゃんと合流した。
その間に遥さんが目を覚まして、事情を説明した。
再び、那奈ちゃんの待っている研究室まで向かうことになった私達。
「血で床が滑りやすくなってる……、施設の人も多いから慎重に行動しよう」
リーダーの那奈ちゃんがいない代わりに、音子ちゃんがそう指示をした。
廊下を皆で走っていると、ひとつ気がついたことがあった。
彼方くんと実莉の足が異常なほどに速いこと。
ダーッと二人で向こうに行ってしまい、姿はかなり小さく見えた。
「あの二人、運動神経いいね…」
音子ちゃんも同じことを思っていたのか、苦笑していた。
「海斗くん、怪我はもう大丈夫なの?」
顔色はよく、いつもと変わらない海斗くんを見て聞くと…海斗くんはにこっと笑った。
「おう、おかげでな。無理するなって実莉に怒られたから、これからは自分を大切にすることにした」
「ふふ、そっか。」
「…それにしても、やけに静かだな」
海斗くんの言うとおり、廊下にある死体がさっきより少しだけ増えていて…施設の人や研究員は見当たらなかった。
辺り血だらけで、滑りやすくなってる床を避けながら走るのを速めた私。
なんだか嫌な予感がしてならない……。
怖いという感情が溢れ出し、少しだけ鳥肌が立った。
「おかしい……、さっきまで機関銃の音や拳銃の音が聞こえていたのに」
遥さんも同じことを思っていた。
「とにかく、研究室に那奈ひとりだけでしょ?いくら那奈でも危ないから、急ぎましょう」
「はぁ~……ちょっとでいいから、あいつらの足の速さを分けてほしいよな」
「あはは…確かに」
研究室まであと少し。
脱出できるまで、もうひと踏ん張りかもしれません。