四つ子の計画書
「皆…早くここから出よう。脱出しよう、全員で」
「うん…!」
海斗くんは梨乃くんを、那奈ちゃんは実莉をおんぶした。
「…海斗くん、あの……、彼方くんと遥さんって昔の知り合いかなにかだったの?」
どうしても気になったことを問うと、海斗くんは上に視線を向けて、うーん…と考え込んだ。
「詳しく言えば……、家が隣同士の幼なじみだったんだ。だけど…遥の親が離婚して引っ越していった。
遥がここにいる時点でわかると思うが、遥には双子の弟がいた。でも…病弱だった弟は他界。
例え弟が死んでも、双子だったことには変わりはない。だから、特別感染ウイルスにも感染してここに連れてこられてしまった…ってことだ」
「そう、だったんだ……。」
「まあ、遥と彼方は仲の良い恋人同士でもあったけどな?引っ越していってから、ずっと会ってなかったんだ」
「……天国で、きっと弟さんにも会えるよね?」
「もちろん。じゃなきゃ、神様を恨むよ」
そんなこと言ってると、バチが当たりそうな気がするんだけど…。
奥の方で扉を開けた那奈ちゃんを見つめて、私は立ち上がる。
そして、彼方くんと遥さんを振り返った。
二人とも……、表情は笑っているようだ。
天国でも、来世でも…生まれ変わってまた会えるよね。
だって、離れていてもずっと長い間想いは繋がり続けていたんだから。
私は二人に、さようなら…という気持ちを込めて、笑顔を向けた後……地下室を皆で出ていった。