四つ子の計画書
学校に到着すると、そのまま真っ直ぐ教室へと向かう。
ガラッと教室のドアを開けると、自分の席についた。
今日も余裕のある登校が出来た…。
遅刻は人生の中で絶対にしたくないことNo.1だ。
大袈裟かもしれないけど、本当に遅刻だけはしたくない。
だって、遅刻してクラスの皆の笑い者にされたら最悪じゃん…。
「おはよ、真莉」
私の前の席に座り、こちらを向いた髪の毛の短い女の子。
「那奈おはよ!あれ、もう眼帯取って大丈夫なの?」
「平気。完治したから」
可愛い笑顔を向ける彼女は、水野那奈。
小さな頃からずっと一緒の、幼なじみ。
私と実莉は双子なんだけど、那奈にも双子の姉の音子がいる。
幼なじみ同士の双子って本当に珍しいし、すごい奇跡だよね。
「昨日、徹夜で勉強してたから疲れた…」
ふあぁ…とあくびをした那奈は、勉強ノートを私に手渡した。
かなりの勉強量……す、すごい。
「さすが成績学年トップの那奈さんですね…。私とは比べ者にならない……」
「私達も、もう高校生なんだし、これくらい勉強しとかないとこれから大変だろ」
「いやいや!さすがに1日でノートを二冊使いきる勉強ってキツいよ!?」
「前は三冊使いきったけどな」
「三冊……」
言葉を失った私を、軽く笑った那奈。
「那奈はすごいなぁ…勉強できて」
「真莉がバカ過ぎるだけだろ」
「そ、そんなことないし!」
「んじゃ、この前の数学のテスト。何点だったわけ?」
ぎくり。
数学は一番苦手な科目だ。
「……1…点」
「1点?」
「19点だってば!!」
大きな声を出してしまい、教室にいた皆からの視線が私に突き刺さる。
「ぷっ……ふははっ」
「う、うぅ…」
那奈に笑われたし…!恥ずかしい…。
いや!教室にいた皆にはなにが19点か伝わってないだろうし、大丈夫だよね!
って…19点っていう赤点を取っている時点で大丈夫じゃないんだけど。
「今度の休日、私の家に来て勉強会な」
「ほ、本当に!?勉強教えてくれるの?」
「うん。ま、私が教えるのなら確実に80点以上は取れるかもな」
「ん、んん…?」
なにか嫌な予感が……。
にやりと笑った那奈に、なにも聞き返すことができなかった。