【短編】俺にドキドキしてたんだ?
このこと、美鈴には内緒ね。
今日は修学旅行最終日。
すごく楽しかった北海道旅行が、今日で終わりなんて寂しすぎる。
「では班に分かれて自由行動です」
先生の合図とともに、予め決めていたグループに分かれる。
同じ班には、密かに想いを寄せている幼なじみの遥翔もいて。
実は今日を一番楽しみにしていた。
「最初どこ行くんだっけ?」
「オルゴール館じゃなかった?」
私が開いたしおりを覗き込んでくる遥翔。
「全然ちげーよ、小樽運河じゃん」
そう言った遥翔と目が合う。
「う、うるさいなー。じゃあ私に聞かないでよ」
意識する前は目が合うなんて普通のことだったのに。
今はそれだけでドキドキしちゃう。
目的地に向かう道なりには、沢山の食べ物屋さんがあった。
「ねー、ジンギスカンの串焼きとかあるんだけど!」
「こっち、ソフトクリームあるよ!食べよ!」
ついつい美味しそうな食べ物に目移りする。
「おまえさー、さっきから食いすぎじゃね?」
「いいじゃん、ここでしか食べられないんだよー」
同じ班に好きな人がいるだけで、修学旅行が何倍も楽しい。
「ねー、どら焼きジェラートだって!超おいしそう!」
「は!?さっきアイス食ったばっかじゃん」
「いいじゃん、いいじゃん!」
半ば強引にみんなを連れて、どら焼きジェラートを購入。
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