復讐寮~罰ゲーム~
被害に遭った子はいかにも未経験そうだし、ショックが大きいのは理解できる。


でも、一夜明けてからみんなに伝えても意味はない。


「そういうことだから、みんなも気をつけて。それから、寮の側をうろつく妙な人を見かけたら、すぐに知らせてね」


カヤ先輩はみんなへ向けて声をかける。


あたしは内心舌打ちをしていた。


誰だか知らないけれど、覗きのせいでしばらく真仁と良に呼ぶことはできないだろう。


窮屈な寮生活での、唯一の楽しみだったのに!


「角川さん。ちょっといい?」


そんな声がして視線を向けると、そこには寮の先生が立っていた。



50代のはずだけど、その髪には沢山の白髪が混ざっていてお婆ちゃんのように見える。


あまり顔を合わせないし、寮内のことはカヤ先輩がすべて仕切っているから、ついその存在を忘れてしまいそうになるが、ちゃんといたんだ。


「はい」


カヤ先輩は従順な犬のように返事をして、先生に付いて行ったのだった。
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