復讐寮~罰ゲーム~
「おい、お前らは大丈夫か?」


その時真仁が突然声をかけてきたので、一瞬心臓がドクンッと跳ねた。


土曜日の夜のことを思い出すと、自然と頬がゆるむ。


「なんのこと?」


ちょっとぎくしゃくして訊ねる。


「覗き魔のことだよ。学校中、その話で持ち切りだ」


全寮制だから寮内での出来事はあっという間に広がってしまうんだろう。


「あたしたちは大丈夫だよ……たぶん」


あたしは最後に『たぶん』と付け足して首を傾げた。


いつもこの3人でふざけながらお風呂に入っているから、視線に気が付かなかったかもしれない。


「大丈夫かよ、それ」


あたしの言葉に真仁は顔をしかめている。


「大丈夫だよ。被害に気が付かなければなんともないもん」


あっけらかんと言うと、笑われてしまったのだった。
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