復讐寮~罰ゲーム~
カヤ先輩の面倒見のいいところが評価されているのか、カヤ先輩は女子生徒に人気だった。


それでも、あたしたちにはカヤ先輩の良さは理解できない。


せっかく自由な生活が手に入ると思っていたのに、あの人のせいで台無しだ。


後輩のことを考えるなら、好きなようにさせてほしかった。


「ちょっと、平方さん」


突然声をかけられた亜沙美が振り向くと、廊下側の窓の向こうにカヤ先輩が立っているのが見えた。


一瞬、今の悪口が聞こえただろうかと心配したけれど、すぐにその不安を打ち消した。


別に、聞かれていたってどうってことはない。


カヤ先輩なんて、怖くもなんともないんだから。


「なんですかぁ?」


亜沙美も、カヤ先輩をおちょくるように間延びした返事をしている。


その様子を見てあたしと瞳は顔を見合わせて笑った。


「今日はお風呂の掃除当番、ちゃんとやってよ?」


少し険しい表情になってそう言うカヤ先輩。


しかし、亜沙美は動じない。


何度か瞬きをした後、「あぁ……はぁい」と、欠伸交じりの返事をする。


カヤ先輩はまだなにか言いたそうな顔をしていたけれど、あたしと瞳が笑っているのを見て諦めたようにA組を後にしたのだった。
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