復讐寮~罰ゲーム~
「一回くらい掃除した方がいいんじゃない?」


瞳が心配そうな表情になって言った。


一度や二度のサボリなら許されるかもしれないが、亜沙美は寮生活になってから一度も掃除をしていなかった。


のらりくらりと言い訳をして人に押し付けているため、そろそろ本気で怒られそうだ。


「大丈夫、大丈夫。熱があるのは本当だから」


亜沙美は自信満々にそう言って体温計を取り出している。


「なに言ってんの。ピンピンしてるじゃん」


あたしは呆れて言った。


今から熱を出そうとしても、それは無理だ。


そう思っていたのだが……。


亜沙美は部屋の奥へ移動すると電気ポットを取り出したのだ。


一分ほどでお湯が沸かせる、小ぶりなものだ。


「ポットなんてどうするの?」


興味を示した瞳が漫画を投げ出して、亜沙美の隣へと駆け寄った。


「いつでも使えるように沸かしてあるの」


亜沙美はそう言い、カップにお湯を注ぎ始めた。


部屋の中に湯気が立ち込める。


「亜沙美、あんたまさか……」


そう呟いた次の瞬間、亜沙美はお湯の入ったカップの中に体温計を付けたのだ。


「あははは! いつもこんなことしてたの?」


瞳がおかしそうに笑う。
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