復讐寮~罰ゲーム~
その瞬間、亜沙美の顔から血の気が引いて行くのを見た。


先輩たちが持ってきたのは亜沙美が仮病を使うために使っていたポットだったのだ。


「あたしの部屋に勝手に入ったの!?」


「そうよ。悪い?」


カヤ先輩に悪びれた様子はない。


元はと言えば雑用をサボっていた亜沙美が悪いのだと、言いたいのかもしれない。


「今日も熱湯を用意してあげたのよ?」


カヤ先輩がそう言うと、ポットと一緒に洗面器が用意され、テーブルの上に置かれた。


一体なにをするつもりなんだろう。


嫌な予感が胸に渦巻き、あたしは真仁の腕を掴んだ。


「大丈夫、隙を見て逃げ出せばいい」


真仁があたしにだけ聞こえるよう、小声で言った。


でも、窓の前にもドアの前にも先輩たちが待機している。


こんな状況でどこから逃げるというんだろう。


真仁も怖いのか、さっきから体が小刻みに震えている。
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