冷徹部長の溺愛の餌食になりました
「……あかね、最近久我さんと仲悪くないか?」
そんな私に、馳くんはなにかを察したように小声でたずねる。
「そう?普通だと思うけど」
それに対して私はそう言って笑ってみせた。
普通。そう、普通だ。
仲悪くなんてなっていない。元々の関係に戻っただけ。
あの日以来、彼からもらったネックレスはつけられていない。
でも、捨てることもできず、毎日お守りのようにポケットに入れて持ち歩いている。
そんな私の胸にはまだ、久我さんの存在は『好きな人』として残ったまま。だからこそ余計に苦しい。
最初から、間違ってた。
好きだからこそ、代わりでもいいなんて思っちゃいけなかった。
余計苦しくなるだけだと、あとからようやく気づくなんて。私は、バカだ。
毎日毎日、後悔と、恋が終わった悲しさだけが胸に募っていく。