冷徹部長の溺愛の餌食になりました
ここ、【株式会社 喜望堂】は東京・赤坂に本社を持つ大手広告代理店だ。
地上三十階、地下三階の高層ビルの二十階から二十八階を占めるうちの会社は、国内3位に入るほど名の知れた会社。
営業企画部や制作部、ウェブ広告部などの部署で主に構成されている。
社員総数は本社だけでも五〇〇〇人以上だ。
それに加え、各地方に支部を持ち、さらにはファッション系や医療品系など各業種専門の広告を受け持つ子会社をいくつも抱えている。
その会社の第一営業企画部で私、霧崎あかねは働いている。
私の主な仕事はクライアントへの営業と、雑誌やテレビなどの広告宣伝媒体との結びつけ。
企業と媒体の間に立ち契約を結び、企画を立て、制作部やイベント運営部に仕事の割り振りをしたり、時には他社とコンペで競い営業を勝ち取る。
まだ二年目と部署の中では下の方で先輩たちの手伝い役がほとんどだ。
けれど少しずつひとりでも仕事が出来るようになり、楽しくなってきたところだ。
今も先日出した企画が認められて、気分は一気に上昇している。
あの企画、何度も何度も練り直して頑張って考えたからなぁ……嬉しさもひとしおだ。
よし、この勢いで他の案件の企画書も仕上げちゃおう。
そう張り切ってパソコンのキーボードを叩き、作成途中だった資料を一気に仕上げる。
そしてそれをプリントアウトし部屋の中央窓際にあるデスクへと持って行った。