冷徹部長の溺愛の餌食になりました
「あぁ。店出たあたりからおぼろげにしか記憶がない」
やっぱり……!
私が勇気を出して言ったことも、全く覚えてなくて、私を小宮山さんの代わりに抱いたことも記憶にないのだろう。
なら、言わなくちゃ。『責任をとる必要なんてないです』、って。
『最初から私のことなんて見てない』、『私があの人の代わりになることを望んだんです』って。
そう、思うのに。
ずっと好きだった人からそんなことを言われて、断れるわけがない。
責任感から出た言葉でも嬉しくて、私は自分だけが知っている真実を飲み込んだ。
「……じゃあ、よろしくお願いします」
ぼそっと言うと、久我さんも小さく頷いた。
私はずるい。
本当のことを言わずに、飲み込んだ。
だけど、それでもそばにいたい。
その心に恋愛感情がないとしても、責任感故に結ばれた関係だとしても。
それでも少しでも、その目に映りたいと願うから。
今日から私は、彼の恋人。