冷徹部長の溺愛の餌食になりました



「ていうか、あの人ちゃんと飯食ってるのか?最近ゆっくり休憩とってるところ見てないけど」

「言われてみれば、確かに……」



思い出すのは、昼休みもデスクでひたすら仕事をする彼。

ここ数日、外食に出たり、買ってきたごはんを広げたりする姿は見ていない気がする。



ちゃんとごはん食べてるのかな。

あの様子だと家で自炊するなんてこともないだろう。インスタントとかで手短に済ませるのもいいけれど、そればかりでは体を壊してしまう。

心配だ……。



私でよければ、ご飯を作ってあげたい。

けどそう言っても断られてしまいそうな気がするし、さすがに家に押しかけてご飯を作るなんて勇気はないし。どうしよう。



……あ。

それなら家に押しかけず、自宅で作ればいいんだ!



名案、とばかりに思いついた私は、その日の夜、仕事帰りにスーパーに寄り食材をいくつか購入して帰宅した。



そして翌朝、いつもより2時間も早く起きてせっせと料理に励み……そう、お弁当を作ったのだ。


これなら、久我さんも昼休みに手短に食べられるし栄養もバランスよく取れる。

素直に受け取ってくれるかが不安だけど……。

でも久我さんのことだから、なんだかんだ言いつつ食べてくれるんじゃないかなとも思う。



ほんの少しの緊張と期待を込めて、黒いお弁当箱をランチトートに入れると私は家を出た。


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