冷徹部長の溺愛の餌食になりました
それから数日が過ぎた週明け。
久我さんが携わっているプロジェクトの業務がようやく一区切りついたようで、忙しさも落ち着いた様子だ。
いつも通り、通常業務を冷静にこなす久我さんを見て私はちょっと安心した。
ちゃんとごはんを食べて休めているのだろう、顔色も以前よりはいい。
そんな彼を見て安堵した、その日の夜のことだった。
「今日の分の仕事、おわりー!」
ほとんどの社員があがったあとで人がまばらなオフィスの中。仕事が片付いた解放感に、私は大きく伸びをしながら声をあげた。
久我さんもまだ残ってるし、せっかくだし一緒に帰りたいな。でもまだ帰れないかな、勇気を出して誘ってみようかな。
そんなことを考えながら、デスクにいる久我さんをちらりと見る。
「霧崎」
するとその時、ちょうどタイミングよく、彼が小さく手招きをしながら呼んだ。
「どうかしましたか?」
「今夜、これから時間あるか?」
「はい、ありますけど。あっ仕事手伝いますか?」
久我さんから仕事を任せられるなら喜んで、とばかりに満面の笑みで言うと、彼は「お前の頭の中は仕事ばっかりだな」と苦笑いを見せた。