冷徹部長の溺愛の餌食になりました
「綺麗……すごい、素敵です!テンションあがるー!」
「予想通りの反応だな。喜んでくれるんじゃないかと思った。なんとかと煙は高いところにのぼるって言うしな」
「それくらい知ってますよ、バカと煙は高いところに……って誰がバカですか!」
一瞬納得しかけながらもすかさずツッコミを入れた私に、久我さんは「ぷっ」と吹き出し笑った。
か、からかわれた……。
悔しい、けど久我さんが笑顔になってくれて嬉しい。ふたつの気持ちが入り混じる。
「お前は見てて飽きないな」
「……それはいい意味ですか、悪い意味ですか」
拗ねたようにたずねると、彼はおかしそうに笑いながら膨れた私の頬を指で小突く。
「もちろんいい意味だ。真剣に仕事してると思ったらたまに抜けてたり、子供みたいにはしゃいだかと思えば気遣ったり、甘やかそうとしてきたり」
それは、先日のお弁当の件を指しているのだろうか。久我さんはいつもは厳しいその目をそっと細めて言う。
「そういう霧崎を見てると、たまにおかしくてたまに心配で、いちいち気持ちが動かされる」
私の言葉に、行動に、そのこころが動いている。
そう思うとまた嬉しくて、このこころも揺さぶられる。
今彼の目に、私は映っているんだろうか。
バカなやつと思われていてもいい。子供扱いでもいい。
あの人の代わりの私じゃなくて、私としてその目に映りたい。
その気持ちを伝えるように、私はふたたび彼の手をきゅっと握る。