冷徹部長の溺愛の餌食になりました



な、なんて興味なさそうな言い方……。

あまりの冷静さに、誤解されるのもいやだけど、これはこれで悔しくなってしまう。



どうでもいい、だなんてそんな言い方ひどい。つい眉間にシワが寄り、怪訝な顔つきとなる。



「……そんな言い方して、私がその話を受けてもいいんですか」



拗ねた口ぶりで聞くけれど、それに対しても彼はやはり平然とした顔のまま。



「別に?どうぞご自由に」



さすがの私も、そのひと言にはカチンときてしまった。

どうぞって、ご自由にって……さすがにそんな言い方ないと思う!



「私の気持ち知っててそんな言い方するなんてひどいです!久我さんのバカ!意地悪大魔王!おじさん!」

「31はまだおじさんじゃないだろ」

「もういい!知らない!」



私はそう吐き捨てるように言うと、その場を駆け出しオフィスへと戻った。



久我さんのバカ!最低!

私は、何回も久我さんのことが好きだって伝えてるのに。その気持ちを無視して、『別に』だなんて冷たすぎる。



腹立たしさや不快感、むかつき、それらの気持ちが一気に胸にこみ上げたあと、最後には寂しさだけが心に残った。



……所詮、形だけの恋人でしかないってことだよね。



寧ろ彼からすれば、私に他に彼氏ができたほうがいいとか思ってるのかな。

まぁ、そうだよね。そうすれば久我さんは、責任感から始めたこの恋人ごっこから解放されるんだもの。



そもそもただの私の片想いでしかないのに。この気持ちを彼にも大事にしてほしいとか、ちょっとくらい妬いてくれてもとか、願うほうが間違ってる。



わかってる。

けどやっぱり、あんな言い方されたら傷つくしヘコむよ。




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